あるところに1人の錬金術師とホムンクルスがおりました。
錬金術師は長い長い、とても長い研究の日々の末、
ホムンクルスの作成に成功したのです。
そして、そのホムンクルスに愛情の全てを注ぎ、育成をしてきました。
1人と1匹はいつも一緒にいました。
どんなに住む街が変わっても、どんなにギルドが変わっても、2人は一緒でした。
そんなある日。
2人は長旅の末、ある小さな街に辿り着きました。
錬金術師:今日はこの街に泊まろう。長旅でおまえも疲れたろう。
ばにるみ:はい。
いつもなら眠る前に、必ずホムンクルスにご飯をあげていた錬金術師。
しかし、この日は疲れていたのでしょうか。
うっかり忘れてしまったのです。
ば:(´・ω・`)おなかすいた・・・
ホムンクルスは食べられそうなものを探してみることにしました。
だけど、見つかるのは人間の食べ物ばかり。
ば:ぼくが食べられそうなものはないのかな・・・
ホムンクルスは人工生命体。
その体を維持するには、錬金術師が特別に調合したものでないといけません。
ば:ごしゅじんさまぁ・・・
ば:起きてくれないかな・・・ぼくお腹すいたよ・・・
まだ弱いホムンクルスを守りながらの旅は、それはつらいものでした。
錬金術師は疲れきっていたのです。
深い眠りの中、ホムンクルスの声は彼に届きません。
ば:あぁ・・ぼくが足手まといだから・・・ぼくを育てるのに疲れちゃったのかな・・・
ば:ぼくがご主人さまを守ってあげられるくらい強かったらよかったのに・・
ホムンクルスは自分の弱さを呪いました。
ば:ご主人さま起きてください・・なんかもう体が・・・溶け出してる・・
なんということでしょう。
ホムンクルスの体がぼろぼろと溶け出してしまいました。
まるで涙のように、それは流れていきます。
どろどろどろどろどろ・・・
(´;ω;`)<ばにるみー
うぁああ・・・痛いよぉ・・苦しいよ・・・
ぼくいらない子なのかな・・神様が造った生き物とはちがう・・
呪われた子だから・・こんなに苦しい思いをしなきゃいけないのかな・・
ああ・・・消えちゃうよ・・・
さようなら・・ごしゅじんさま・・・いままでありがとぅ・・・
○。。。。。 ころころころ・・・
残ったのは、さみしそうに転がるホムンクルスの丸い核がただ1つ。